イラスト制作にAdobe社のIllustratorを使用しています。
イラレの本はいくつか買っていて、時間のあるときに勉強しています。
今回は、『知識ゼロからきちんと学べる! Illustratorしっかり入門』という本をご紹介します。
『Illustratorしっかり入門』はどんな本か
私のこの本に対する印象は、「入門書でありイラレの基本操作の大辞典」です。
料理に例えて言うなら、調理器具や調味料の種類や使い方、食材の切り方などを、一から懇切丁寧に解説してくれているようなイメージ。
タイトルに「基本機能を学ぶ」と書きましたが、私の感覚で言えばこの本1冊で基本から応用までガッツリです。
それでも「基本」としたのは、イラレがあまりに多機能・高機能で、この本に載っている内容よりもっと複雑なことができてしまうからです。
サラダやおひたし、卵かけご飯くらいのものは作れるようになるけど、おせち料理や本格中華までは無理、という感じ。機能的にはどんな料理もできるけど、みたいな。
でも、この本を丸1冊しっかりできれば、かなり底力がつくはず。この本をベースに色んなことができるようになると思います。
Lesson1・2で学ぶのはイラレで絵を描くための環境設定と基礎知識
表紙にこんなキャッチフレーズが書かれています。
世界でいちばんやさしいとことん丁寧な入門書。基本操作から、ずっと使える実践ワザまで、必修機能を完全網羅しています。
かなりボリュームがあり、全体で250ページ弱。
Lesson1はイラレそのものの解説とツールやパネルの紹介
Lesson1では、「そもそもイラレとはなんぞや?」という話を約15ページにわたって非常に丁寧に解説しています。
この章で重宝しているのは、Lesson1-2と1-3にあるツール一覧とパネル一覧のページ。
すべての機能を紹介している訳ではないですが、解説つきでこのような一覧になっていると非常にありがたい。
「こういう機能は何でできるんだっけ?」というとき、ネットで調べるのは大変なんですよね。
Lesson1-4はイラレで利用できるファイル形式の紹介と解説があるのですが、このページも重要。保存形式別にできることの違いや、どんな場面で利用されているのかが表で解説されています。
Lesson2は絵を描くために必要な準備を学ぶ
Lesson2は新規ドキュメントの作成・ファイルの保存、環境設定や超基本操作の話。
面倒でもザっと目を通しておきたい章。
きっちり読むというより、どこに何が書いてあったか把握しておくといいと思います。必要なときにパッと手に取って辞書的に使えるように。
ある程度イラレを使えるようになっていると、既知の内容が多い章です。
が、この章で取り上げられていることを正確に把握してるかどうかは、効率化・快適化に影響すると思うんですよね。
例えば、以下の詳しい解説があります。
- ワークスペース
- インターフェイスの色変更
- スマートガイド
- 定規・ガイド・グリッド
- 印刷機能
リストの上から3番目までは、本を見ながら自分の環境を整えておくのがいいかも。
デフォルトの状態でも問題ないけど、一応「こういう設定ができるんだー」と頭に入れておくのがベターだと思います。
- オブジェクトの選択・消去・移動
- 操作の取り消し・やり直し
これらの説明もかなり詳しく書かれています。
イラレに初めて触る人にとっては、これらの操作だけでも戸惑うと思います。実際私も相当戸惑いました。
Lesson2は約20ページ。お絵かき以前の話だけで結構なボリュームですが、しっかり読んでおいた方が後々ラクだと思います。
Lesson3で基本図形の扱い方を学べば簡単なイラストは描ける
Lesson3はおおまかに前半・後半に分けられると思います。
Lesson3-1から3-7は、円や四角、星、菱形などの基本図形の作り方。この辺りはさっと目を通しておけばいいかなと。
Lesson3-8から3-17がしっかり学んでおきたいところ。個人的には。
- バウンディングボックス
- 拡大・縮小、回転、傾斜、反転
- 自由変形ツール
- 複数オブジェクトを個別に一括で変形
- パスファインダー
- ライブコーナー
ある程度イラレの操作に慣れている方は、読みながら知らなかった知識を埋めていく。
初心者の方は、実践しながら読み進めて行くといいかなと思います。
この章をきっちりやれば、図形を組み合わせて簡単なイラストが描けるようになると思います^^
初心者の方が学んでおきたい、その他のレッスン(章)
たぶん、初心者の方がこの本を一気に最後までやろうとしたら挫折する気がする(^^;
センスがある人や根性ある人、楽しくてしょうがないって人は大丈夫かもしれないけど。
私、これの前に井上のきあさんの『Illustrator Japan Method』という本を丸一冊やっています。
それなりに底力はついたと思うのですが、それでも『知識ゼロからきちんと学べる! Illustratorしっかり入門』を一気にやろうと思うと相当しんどいです。
とりあえず図形の組み合わせでシンプルなイラストは作れるので、あと他に見ておくといいかも?ってレッスン(章)は、
- Lesson4-4 → アンカーポイントの基本操作
- Lesson4-7、4-8 → 線の基本と点線・破線
- Lesson5-1、5-2 → オブジェクトの整列・グループ化
- Lesson5-5 → オブジェクトの重ね順
- Lesson6-1 → 塗りと線の基本概念
- Lesson6-7 → スポイトツール
- Lesson7-6、7-7 → 効果
この辺りかな?
ザっと見ておき、これらの機能を使いたくなったときに本を見ながらやっていくのがいいかなと。
私自身この本の内容を全部実践するのは無理なので、必要になったもの、試してみたいものを少しずつやっていこうと思います。
あ、ちなみにイラレと言えば「ベジェ曲線」ですが(Lesson4-2)私はベジェを捨てました(笑)
どうにも上手く扱えないので、諦めてアンカーポイントを動かして絵を描くことに決めました。
多機能・高性能なイラレを自己流で使い続けると、結局時間を無駄にする
実は長らく、イラレの勉強をすることなく「なんとなく」で使ってきました。
Adobeの公式ヘルプはなんだか分かりにくいし、動画教材もめんどくさい…。ネットで調べれば無料の情報がたくさんあるから、わざわざ本を買いたくないな、と。
基本が分かっていないのにその場その場で調べて、すぐにできそうなテクニックをよく理解しないまま真似たり。
その結果どうなったかというと、
- 素材の作り方がめちゃくちゃで修正が困難
- あとから使いまわせるまともな素材が全然ない
- 自分で作った素材が使いにくい
・・・と、こんな事態になったんですよね。
イラストACに人物素材を一時期たくさん投稿していたのですが、実は服の下がこんなことになっています。
パスの概念を理解しておらず、線と塗りの仕組みもよく分かっていなかったんです。
手足もパーツ毎に分かれておらず、他のポーズに展開することが困難です。
正直、今なら一から作り直した方が早いです。
イラレを自己流で使い続けると、そのうち行き詰ってしまうと思います。
Adobe公式の教材でも本でもいいから、とにかく基本の部分をきちんと学ぶこと!
大変でもその方が近道だったなと最近すごく思います。
今回ご紹介した本はボリュームもあって大変ですが、「そもそもイラレとは」の部分から懇切丁寧に解説されているので、しっかり学びたい方におすすめできるなと思いました。